はじめに
寿命、という言葉は皆さん聞いたことがあると思います。
生まれてから亡くなるまでの期間のことですね。
平均寿命は日本で言えば男性は80歳を超え、女性はさらに7~8歳も長く生きているという結果が出ています。
ちなみに、平均寿命というのは生まれた瞬間、つまり0歳の時点での余命のことです。例えば平均寿命が80歳というのは、生まれた瞬間の余命が平均80年として知られているというだけで、30歳になったから残り50年しか生きられないというわけではありません。
30歳になったら、30歳時点での平均余命というのが存在するので注意が必要です。
さて、そんな寿命という言葉に、最近になって「健康寿命」という言葉が広がってくるようになりました。
その名の通り、「健康で生きることができる」期間という風に考えてください。
なぜ、こんな言葉が出てくるようになったのか。それは、年齢を重ねるにつれて当然健康でなくなってくる方が多くなってくるからです。
健康寿命のリアル
実は、平均寿命が80歳を超える日本ですら、健康寿命はそれよりも10年ほど短いということが言われています。
即ち、平均の話で言えば、人生の残りの10年間は大病を患ってしまうとか、寝たきりになってしまうとか、そういう状態になってしまうわけですね。
実際に病院で働いていると、70歳以降になってから体調を崩して何度も入退院を繰り返し体力が落ちてきてしまっている患者さんをたくさん拝見します。
もちろん、100歳近くまでお元気で過ごされる方がいらっしゃる一方で、大多数の方が病院で過ごされているのが現状です。
治ったと思っても、体力が落ちてしまって日常生活に戻ることができず、結局自宅に戻れず施設へ行ってしまったり、転院になってしまったりする。
そういう状況が、ここ最近でさらに深刻化してきたような気がします。
健康寿命という言葉が叫ばれるようになった背景には、このような事象がすくならからず影響しているものと思います。
ですが、健康寿命を「健康でなくなってから」意識し始めたのでは遅いのです。
病院に来てから、治療を開始しても、それはもともと健康であった自分に戻るということではないのです。
日々、油断せず生活する
働き盛りの若い人たちは、自分たちの健康を気遣うことはほとんどないでしょう。
どれくらい睡眠不足であったとしても平気ですし、翌朝になってしまえばまたフルパワーで働くことができてしまう。
あるいは、外食やコンビニ弁当ばかりでも、特に異常を指摘されない方もいらっしゃるでしょうし、「毎日走っているから大丈夫」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここで大事なのは、「油断をしないこと」です。日々、自分が確実に老化をしているということを念頭に置きながら対策を立てなければなりません。
適当な生活をしていれば、それなりの報いが返ってきます。
「若いときにそんなことを考えても仕方がない」と思われる方がほとんどだと思います。
ですが、そういう思考の末路が、現状の病院のなかで展開されている画なのです。
「もっとあのときに禁煙しておけばよかった」「血糖値に気を付けていればよかった」など、過去を悔やんでいる方もたくさんいらっしゃいます。
それは、すべて若いころにそういう知識を持っていなかったからなのです。
若いときにこそ、自身の老化ということについて怯え、何かできないかとしっかり勉強しておくべきなのです。そして、頭の中でも「死」という感覚について勉強をしておくべきなのです。
よく、90歳近くになった親が入院して、「死ぬことなど考えたことがなかった」とおっしゃる患者さんの家族もいらっしゃいます。
人間は今の時点では確実にどこかのタイミングで現世とお別れしなければなりません。
そこまでの期間を充実させることはもちろんですが、そうなったときのことをきちんと考えておくというのは、自分の人生に対して責任を持つ一端になります。
自分の生活を振り返る
自分の生活を振り返ってみましょう。生活リズムはどうでしょうか。運動は適切にしているでしょうか。食生活はどうでしょうか。
こういうことを一つおろそかにしてしまうと、他も「まあ、いっか」となってしまいます。
健康を損なってしまうと、そこから先はいくらお金があっても、いくら頭があっても充実した人生を送ることは難しいでしょう。
私は、人生を豊かに送る方法として3つの項目の掛け算を常に意識しています。
勉強×投資×健康
この3つのどれかが欠けてしまっていると、充実した人生を送ることはできない。
反対に、どれか一つに比重を置きすぎてしまうと、他の項目がおろそかになってしまいがちです。
経済的基盤がしっかりして、自分の身体が充実して、新しいことを吸収していける頭を持っていることこそ、人生の豊かさへの第一歩に繋がると思います。
人生百年時代を生き抜くためのヒントが、以下の著書に書かれています。
人生の期間が長くなれば長くなるほど、経済的な自由を獲得してから自身が有効に使うことのできる時間も長くなってきたということです。
それは逆に、きちんと使わないと、「ぼーっと」過ごしてしまう無為な時間にさえなってしまいます。
そういう時間が積み重なってしまうと、いつしか経済も健康も勤勉も破綻し、「人生あっという間だったなあ」と感じてしまう。
そうならないために、まずは自分の人生がこの3つの柱できちんと成り立っているかを考えましょう。
若いときにすべきこと
では、どういう風にしたら健康な人生を送ることができるのでしょうか。
それは、3つの柱に立ち返って考えることです。
・自分の人生を自由にすることのできる経済力を確保すること
・毎日を充実して送ることのできる身体機能を獲得すること
・大きな視野を確保するための知識や思考を常に更新すること
これらは「継続的な投資」「継続的な運動(筋トレ)と食事」「継続的な勉強」によって培われます。
本ブログではこれらを意識しながら様々なヒントをご紹介しています。
できるうちからこれらの3つの柱を強固なものにしておきましょう。
若いときに作ることができれば、歳をとったとしても継続が可能ですし、さらに大きく、深く、広くすることができますからね。
気づいたときに始めるのが吉です。
おわりに
健康は、あるときには近すぎて意識しないものです。ですが、失ってはじめて「大きかった」とわかるものです。
健康のためにできることは、毎日小さいけれどもコツコツやることで必ず身になります。近年の医学は「予防」という方向へ足を向け始めたのも象徴している通り、「病気にならない」ということが一番の治療になるわけですね。
常に、自分の身体の異変に気付けるようにしておく。そして、異変を起こさないように毎日自分の身体を労わってあげる。
お金が足りなくて毎日厳しい労働をしている方や、付き合いで不摂生にならざるを得ない方など、様々な理由はあるかもしれません。ですが、もっとも重要なのはあなた自身の身体です。
健康である期間を長くして、豊かさを噛みしめる人生を長くしましょう。