学ぶということはときとして途方もないことのように思えます。
勉強していると必ずそういう壁にぶち当たるかと思います。
豊かになるための方法としての勉強は、ただやみくもにやればよいというわけではありません。
勉強は、知識を身につけるため、そしてその知識同士を有機的に繋ぎ合わせて一つの「思考」にするための行為でもあります。
その知識は、日が経つごとに色褪せてしまうようなものであってはなりません。
特に、現代では情報が氾濫していますから、その中から光る「知識」を抜き出すのは至難の業ともいえるでしょう。
情報を入手する媒体も、今では無限に存在しています。
そして今では、著名な作家や教授でなくとも、自分の意見や考えを発信できる時代となりました。
それは爆発的な情報量の増大を招くと同時に、玉石混淆の状態も作り出してしまいました。
医学の世界でも、非常に細かい部分まで研究が進み、知らなければいけない知識、覚えなければならない概念が非常に増えました。
そんな状態で、100%すべてを追いかけることなど不可能に等しいです。
私は、この情報過多の時代にいて、たくさんの情報のシャワーを浴びながら、一番良い知識の身につけ方を考えてきました。
勉強の時間や量は当然必要になってきますが、どの領域でも通用するのは「コア」となる考え方を抽出するということです。
皆さんが勉強している細かいことは、元をたどると必ず大きな幹が存在します。
その幹は、当たり前すぎて忘れさられてしまい、いつの間にか枝葉の部分が注目される時代になりました。
ですが、本質的に重要なのは幹に他なりません。
勉強をし続けるということは、その幹に気づく過程でもあるのです。
枝葉は時間が経てば朽ちて新しいものに入れ替わります。
幹は、根元から抜かれない限りは決して倒れません。時間が経っても悠然として構えていますよね。
経年劣化しない知識とは、まさにその幹のように太く、自立したものであるはずです。
幹を見つければ、いくらでも枝葉の部分に目を移すことができます。
例えば、数学は、数学の問題を解くことそのものは枝葉に他なりません。
数学の問題を通して、相手の求めていることを探る力、そして論理を構成する能力が幹に相当します。
数学をきちんと勉強し、その本質的な意味合いに気づいた人たちは、経年劣化しない知識を一つ得ます。
数学ができるようになるばかりか、国語の力も、社会・経済学の力も同時にスキルアップします。
AIだってそうです。AIを勉強しても何も始まらないのです。
なぜAIがこれほどまでにもてはやされるようになったのか。これはAIの具えている深層学習に関するアルゴリズムを勉強しても見えません。
AIを怖れ、興味を抱く我々人間の心も考える必要があるのです。
そうなると、AIを理解するためにはAIの書籍だけではなく、多くの領域の知識を盤石にしておかなければなりません。
急がば回れ、という言葉がありますね。
本当に深めたい物事があったとして、そこだけを勉強しても経年劣化しない知識は身につきません。そこだけ勉強すれば、その知識は風化してしまいます。
なぜならそれは誰かから噛んで含められた歯応えのない情報に過ぎないからです。
他の領域から得た知識、失敗から学んだ経験などから、新しい形を作り出すことが必要です。
自分で噛んで、感触を確認していくことが必要です。美味しいものばかりを食べるわけにもいきません。
豊かさは、時間が経っても色褪せない知識・思考のうえに自然と生まれます。
様々な勉強をするにあたり、まずは経年劣化しない知識を探しに行きましょう。
他人から教わった知識だけで生きていくのはもったいありません。
自分で幹を見つけに行く喜びを是非味わってください。