人間はそもそも臆病な動物である
私たちの持つ基本的な性格として、「変化を嫌う」というものがあります。
状態が変化することによるストレスを感じるわけですが、これは種の生存・安全のために進化の過程で身についてきたものでしょう。
一日の生活で、朝から晩まで行動している自分を思い起こしてみてください。
だいたいにおいて、行動パターンが一定になっていますよね。
朝起きて、皆さんが取る行動は、例えば洗顔する→歯を磨く→食事を摂るの順番だったときに、毎日その順番を入れ替えて行動するひとはそうそう多くないでしょう(笑)
同じことを、同じようにやることで、思考のスペースを取らなくて済むからです。
毎日異なる行動をすることは、人間にとってストレスになりますから、なるべく同じことをしようとする。
最近はやりの「ルーティン」という言葉も、人間の習慣的行動の側面を最もよく言い表しているものだと思います。
これを言い換えると、「新しいことに臆病である」ということもできます。
新しいことに挑戦することに慣れている人であれば、様々な迷いも少ないでしょうし、自動的にステップアップしていくことでしょう。
しかし、一方でそうでない人が多いのも現状です。
「新しいことに挑戦することに抵抗がある」……ある意味正しい反応です。
新しいことを取るリスクが不透明の場合、自分の生活や生命を含めて、影響をなるべく小さくしようと考えますからね。
そこで、新しいことに挑戦したいけれどもなかなかその一歩を踏み切れない場合、どういう風に考えていけばよいのかをちょっと考えてみることにしましょう。
私が、「これはやって良かったな」と思えることは、みんなこれから説明する「見切り発車」のおかげです。
知識0の初心者がとりあえず見切り発車でブログを始めても100記事は書けますし、今はそれが楽しいです。
そんな見切り発車の効果をご紹介します。
見切り発車は悪いことばかりではない
「見切り発車」という言葉を調べてみると、2つの意味があります。大きく内容は変わりませんが、面白いので引用しましょう。
(1) 電車やバスが満員になったり発車時刻が来たりしたために、乗客の全部が乗りきらないうちに発車すること。
コトバンク
(2) 論議が十分に尽くされないままに、決定・実行すること。
もともとは、乗り物に乗客が乗り切っていないのに「えいっ」と扉を閉めて発車してしまう現象のことを指しているんですね。それが転じて(2)のような議論の不十分な状態での実行という意味が作られたのでしょう。
世間では、この見切り発車という言葉はマイナスイメージでとらえられています。
お笑いを見ていると、「見切り発車」というのは一つの笑いの要素ではありますが、仕事や勉強で「見切り発車」というと、前述の「不十分さ」が目立ってしまって、いい評価に使われる言葉ではありませんよね。
ですが、この見切り発車の「行動」に着目したらどうでしょうか?
別な見方をすると、見切り発車は「えいっ」と行動することでもあります。
将来に予想される様々なリスク・ベネフィットを、一度棚に上げて「とりあえず行動してみる」という風に捉えることはできませんか。
特にこれは仕事や事業を含め慎重になるような方に多いですが、石橋を叩きすぎてなかなか向こうまで渡ることができないパターンで困っている人も多いでしょう。
そこで、とりあえず将来に予想される様々な物事をいったん棚に上げてみる、つまり、見切り発車してみる思考を手に入れてみましょう。
見切り発車の効果は、以下のようになります。
見切り発車の効能(1) 新しいことへの挑戦頻度が増える
見切り発車で物事をすることは、ある側面では「何の準備もしないで飛び込むこと」という風に考えられますが、もう一つの側面では「飛び込むことができた」という風に考えることもできます。
もしも自分がどちらかというと慎重派な性格であるということを自覚しているのであれば、この見切り発車の考え方を実践することで、新しいことに挑戦する機会が増える可能性があります。
例えば具体的に、何かの求人に応募しようとしている場合を考えてみましょう。
普通であれば、実際に見学したり、条件を確認したり、本当に自分に合っているのかを悩んだりしますね。
情報収集をすることで、少しでも将来に生じるリスクを少なくしようとする考え方です。
もちろん、きちんと考えたうえで行動することは素晴らしいことですが、それが行き過ぎると「あれでもない」「これでもない」となり、結果的には「自分に合っているものは一つもない」という考え方になってしまう危険性もあります。
そこで、「まあ、とりあえず応募してみよう」と、十分な情報が集まらないまま見切り発車をしてみる。そういう気持ちを持つことがまず大事です。
新しいことへの挑戦頻度が増えることで、自分の能力を様々な方面に伸ばす機会が増えます。
一つチャンスが増えるだけで、アイデアは足し算ではなく掛け算で増えていきます。
特に、「やりたいな」と思いながらも今の状態だとなかなか一歩を踏み出せていないという微妙な状態のときに、見切り発車で飛び込んでみるというのは一計だと思います。
見切り発車の効能(2) 背水の陣を有効に使える
私はこちらの効能の方が大きいと感じていますが、見切り発車をすることによって、必然的に行動を起こさなければならなくなるという状態を利用することができます。
要するに、一度乗ってしまった船はすぐに下りることができないのと同じように、一度踏み出してしまった一歩を撤回するのであれば先に進めた方がよいということになります。
一度行動を始めると、後には引けなくなります。
これが「背水の陣」で、ここで何も対策をしないと失敗に終わりますが、それが明らかに分かっている場合、絶対に努力しますよね。
例えば、勉強の話で言えばとりあえず資格試験にお金を払って応募してしまいましょう(笑)
応募してしまえば、お金は既に手元にはありませんから、受検せざるを得ません。
受検するのであれば不合格よりも合格の方が良いでしょう。そうなると、勉強しなければならなくなります。
この「追い立てられる状態」を自動的に作り出すのが見切り発車です。しかも、締め切りが定まっていますから、そこまでにどれくらいの知識を蓄えておかなければならないのかを逆算することができますから、併せて効果的な勉強法になります。
投資の世界でも同じです。
書店に行って書籍を買って勉強するのももちろんですが、実際に資産を運用しないと始まりませんよね。
そこで証券会社を開いて「えいっ」と投資を始めてみる。
そうすると利益が乗ったり損をしたりしますから、そのなかで作戦を立てるようになります。
どのようにしたら利益が出るのか。自分はどういう方針で運用すべきなのか。
そういうことが芋づる式に問題点として出てきますから、それらを少しずつ潰していくように努力する。
自分で稼いだお金を投じているわけですから、失うわけにはいきません。そこに「必死さ」が生じてきますから、それを利用するわけです。
見切り発車は意外と上手く着地する ~習慣化にも有効
行動を起こす。たったこれだけですが、やり始めると自然に事が回り始めます。
私も、昔は新しいことはせず、仕事を延々としていくものだと考えていましたが、見切り発車で色々なことをして、結局「習慣化」できています。
人間は、習慣を変えることが難しい生き物です。
しかし、新しいことを一個でも始めてしまうと、それが次第に習慣になって、今度は逆に「やめるのが難しくなってしまう」という状態になります。
見切り発車で行動を始める
行動を止めるのは「変化を嫌う」人間からすると生理的ではない
必然的に行動するようになる
結果を出すために試行錯誤する
このステップを踏めるようになると、新しく始めた物事は軌道に乗ったと考えてよいでしょう。
やり始めるのにタイミングはありません。
やろうと思ったそのときがやるタイミングなのです。
結局は、熟考したところで行動し始めなかったらそれらはすべて絵に描いた餅になってしまうと考えましょう。
思い立ったが吉日。私の行動の軸となる考え方です。
【豊かさのはじまり】「思い立ったが吉日」の成功法則
「見切り発車」の考え方が、行動のエネルギーになってくれればいいなと思います。
ご参考になりましたら幸いです。