生活・ライフハック

【正しく知る】インフルエンザの治療・エビデンスを知って正しく迎え撃ちましょう

インフルエンザは既に流行り始めている

ニュースでもちらほらと見かけるようになりましたが、猛暑がようやく過ぎようかとしているころに、徐々にインフルエンザが流行し始めてきています。

2019/09/19 gooニュースより引用

2009年の流行はグラフを見るだけでもかなりすさまじく、まさに「猛威」というべき年でした。しかし、2019年も実は他の都市に比べて比較的早く、そして急速に流行し始めてきています。

私も7月、8月にわずかではありますがインフルエンザ抗原が陽性となった患者さんを拝見していますが、ここにきて増加してきている印象です。

毎年猛威を振るうインフルエンザ、皆さんはどれくらい正しい情報を得ているでしょうか。

ネットでは様々な意見が飛び交っていますが、インフルエンザに関してもある一定のエビデンス(治療の根拠となる証拠)が存在します。

今回は、雑記ブログの強みを活かしてインフルエンザの治療薬を含めてこれからのみなさんのインフルエンザ対策に少しでも役に立つ情報が提供できればと思います。

インフルエンザは基本的には自然治癒する病気

インフルエンザウイルスは、オルトミクスウイルス科に属するウイルスで、一般的には下気道(いわゆる "かぜ" は上気道です)の症状を引き起こすことが知られています。

インフルエンザウイルスは大きく分けてA型・B型・C型とありますが、人間で問題になるのはA型・B型で、流行するのもこの2者です。

インフルエンザもかぜ(急性上気道炎)も、基本的には生じる症状にはほとんど変わりがありません。

そして、風邪と同じくウイルスは自然に排除され、何もしなくても治ります。

稀に、小児や高齢者の方では他の合併症を併発して重症化することがありますが、一般的な健常成人であればよほどのことがない限り「自然治癒する病気」と考えていただいた方がよいでしょう。

つまり、「温かくして栄養を摂って寝ていれば治る」疾患なのです。

インフルエンザの症状として、発熱はそれほど多くない

皆さんのなかにも、冬場に「いきなり38度の熱が出た」となれば、インフルエンザ検査を受けたくなる気持ちになりますよね。

ですが、実はインフルエンザの症状として発熱はそれほど多くありません。

実際に様々な論文を見てみると、発熱はすべての患者さんで生じるわけではなく、約7割程度であることが分かります。

そして、風邪と同じく咳・たん・鼻水などが出る場合もあります。

場合によってはそれだけの症状であることもあり、風邪とインフルエンザは臨床上見分けがほとんどつきません。

インフルエンザは下気道症状が強く出ることは知られているので、風邪と比較すると悪寒戦慄や筋肉痛、関節痛、頭痛などの全身症状がメインで出る方も少なくありません。

このような患者さんが冬場にいらっしゃって、仮にインフルエンザ検査が陰性であったとしても、臨床的にはかなりインフルエンザ感染症が疑わしくなります(これを我々の世界では "検査前確率が高い" という風に言います)。

私たちは基本的に限られた時間の中で患者さんの症状を聞き、年齢や受診時期などを総合的に組み合わせて検査の必要性を判断しています。そして、検査が陰性であったときの対応に関しても考えています。

ですから、「熱が出たからインフルエンザだ!」というのは正しくないときもありますし、「咳と鼻水だけだからインフルエンザじゃないんじゃないの?」といっても実はインフルエンザであることがあります。

繰り返しになりますが、症状だけで普通の風邪とインフルエンザとは見分けがつかないことが多いです。

抗インフルエンザ薬が皆さんを混乱に陥れている

薬がたくさんあると何がいいのか分からなくなる

インフルエンザ感染症は風邪と同様に自然治癒する疾患と説明しました。

ですが、風邪に対する治療薬が存在しないのに対して、インフルエンザウイルスに対する治療薬はたくさん存在します。

これはなぜでしょうか?

一つの答えとしては、

「風邪」を引き起こすウイルスは非常にたくさん存在しており、いちいち検査しても意味がないから薬剤を使用する意味がない

インフルエンザ感染症はインフルエンザウイルスが原因ウイルスであることが分かっており、増殖するメカニズムが分かっている

となります。

インフルエンザは細胞の中で自身を増殖させて、ノイラミニダーゼという酵素で細胞表面に出た自身の分身を切り離すことによって細胞外にでて、新しい細胞に感染して……ということを繰り返します。

抗インフルエンザ薬はそのノイラミニダーゼという酵素を阻害することによりウイルスの増殖を抑える作用がありますから、「火事が拡大することを防ぐ」ような薬剤になります。(註:アマンアジンという薬剤だけ異なるメカニズムですが、現在ではほとんど使用されておりません)。

抗インフルエンザ薬が存在すれば、症状をすぐによくすることができる。そういう風に考えて皆さんも病院を受診しますし、我々もそのように考えて皆さんに薬を処方します。

ですが、あまりにもたくさんの情報が出回ってしまったために、混乱している方も少なくありません。

ここでは、必要最低限ではありますが必要な知識をご紹介します。

抗インフルエンザ薬には何があるか

商品名 一般名 投与方法 耐性
タミフル® オセルタミビル 経口 ~1割
リレンザ® ザナミビル 吸入 なし
イナビル® ラニナミビル 吸入 なし
ラピアクタ® ペラミビル 点滴 あり
ゾフルーザ® バロキサビルマルボキシル 経口 かなりあり

それぞれ、投与経路や耐性、利点・欠点などがあります。

タミフル®(オセルタミビル)

タミフルは最も使用されエビデンスの蓄積も豊富です。

他の抗インフルエンザ薬も、タミフルに対して劣っていないかを確認する臨床試験が組まれていますので、タミフルと比較することが多いです。

副作用として吐き気などがありますが、予防投与のエビデンスもあります。

一方で、タミフルをはじめとしたノイラミニダーゼ酵素阻害薬はウイルスが増殖してしまった後(火事が進んでしまった後)は効果がありません。

したがって、発症48時間以内の投与が推奨され、48時間を過ぎると効果が減弱することが知られています。

それに加え、増殖を抑えるだけで決してウイルスそのものを殺すわけではありませんから、インフルエンザによる症状が持続する期間を僅か16時間程度短縮するのみという結果が出ています。

自覚症状が出現してからインフルエンザ抗原検査が陽性になるまでには少なくとも6時間程度かかるという風にも言われていますが、実はタミフルはインフルエンザに感染してから6時間以内に投与することで最大の効果を発揮すると言われています。

こう考えると、インフルエンザの検査を待ってから飲むのでは効果が弱くなってしまいます。とはいえ、何でも処方すればよいというわけでもありません。飲んだからといってすぐに良くなったり、飲まなかったから悪くなったという風に言うこともできません。

こうなると、熱でつらい時期にインフルエンザ検査を受けに病院へ行くということは、ご自身の症状と発症からの時間などを総合的に考える必要がありそうです。

一時期はタミフルを使用することで小児の異常行動を惹起するということも騒がれていましたが、これもエビデンスが存在しません。10代には原則使用しないということになっていますが、インフルエンザそのものによる症状である可能性が高いと考えられています。

まとめると、タミフルは

・エビデンスが豊富で予防投与も確立されている
・投与したとしても症状が良くなるまでの期間は約半日くらいしか早めてくれない
・最大の効果を発揮するためには6時間以内に服用することが勧められている一方で、検査で陽性になる確率は6時間以降に上がってくるので、最大の効果が得られない可能性がある
・10代に対しては原則使用しないことになっている

リレンザ®(ザナミビル)

リレンザの最も特徴的なところは吸入薬であるというところです。

効果に関しては、タミフルと比べると症状緩和の短縮時間が14時間程度でやや短いでしょうか。

予防投与をすることでタミフルと同じくインフルエンザ症状を減少することも可能であることが知られています。

タミフルが小児に使いづらくなってしまった現状では、リレンザが処方されることが多いようですが、リレンザのほうが効果が高いというわけではありません。

もう一つ、吸入薬であるがゆえに「きちんと吸えるか」というところが問題になってきます。

症状がつらい中で、小児や高齢者の方に吸入するとなると、効率が悪くなる可能性があります。

吸入薬である点を利点と捉えるか、欠点と捉えるかにより変わってくるとは思いますが、一般的にはタミフルと比較して積極的に処方する点というのがなかなかないのが現実で、患者さんの希望に合わせて処方するということが多いと思います。

イナビル®(ラニナミビル)

こちらも同様の吸入薬ですが、実は調べてみてもあまり症状が改善する期間の短縮のデータはなさそうです。

ですが、イナビルは一回吸入だけで済むので、その点を利点と考えて処方することもあるかもしれません。

治療効果、という点で考えると、必ずしもタミフルを超えないというのが現実でしょう。

ゾフルーザ®(パロキサビルマルボキシル)

新薬として開発され、1回投与で効果が持続するということでここ最近になって猛烈なシェアを獲得した薬剤です。

しかし、実は相当な耐性株が出現していることが確認され、現在では1回投与という利便性がかなり考慮される状態でなければ、処方しづらいのが現実です。

タミフルと比較して効果があるということが証明されたわけでもありません。

新薬だからと言って症状緩和期間が短縮するというわけでもないようです。

最終的には、自分の身体が治します

非常に乱暴な言い方にはなってしまいますが、インフルエンザ感染症は抗インフルエンザ薬が治すわけではありません。

最終的にはご自身の免疫メカニズムがインフルエンザを排除することで症状が少なくなっていきます。

ある意味で、抗インフルエンザ薬はその補助をしてくれる薬にすぎません。

抗インフルエンザ薬を服用してからと言って、先述の通りうまくいったとしても半日程度しか症状緩和期間を短縮してくれません。

過大に頼って、「どの薬が良い」という議論をするよりも、まずはしっかりと休養をとり、栄養のつくものを食べるのが最も良いというが個人的な感想です。

*ここに記したことは、一個人の調査した内容で、医学的な根拠として使用されることはお勧めしません。あくまでもご自身の判断で利用いただければと思います。

Twitterでは日々の気づきをつぶやいています。

忙しいときはこれで書籍を買っています。

参加しています。応援していただけると嬉しいです。

Follow -i- Life on WordPress.com
  • この記事を書いた人

Zen

4,000万円の負債を背負い、日々労働に明け暮れる薄給内科医です。 私を迷うことなく選んでくれた妻と一緒に、経済的自由を目指します。 とりあえず身体を壊さないように30代で5,000万円の金融資産を作ります! 経済的自由を得るまでの道のりを記録していきます。 最後に全員を幸せにして笑って生活するのが夢です。 応援よろしくお願いします(´ー`)

-生活・ライフハック

Copyright© -i- Life , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.