はじめに
皆さん、おはようございます。
朝は、皆さんにとって一大難関となっていることと思います。
「起きる」という行為がどれほど大変なことか。
「仕事に行く」という義務がどれほど重く圧し掛かってくることか。
私も、その難関の前に崩れそうになったことがあります。
ですがこの朝は過ごし方によって一日の中で最もクリエイティブになったり、最も目標を定めて行動するに適する瞬間だったりします。
そもそも、人間のホルモンの動き方は朝に強くなるようにできています(日内変動、といいます)。
ですから、朝のホルモンの力を借りて、夢の世界から現実の世界へ一気に足を踏み入れることも考えてみましょう。
ここでご紹介することは、私が実践しているもののなかでも中核をなすものです。他にもたくさんありますが、一つずつご紹介していきますね。
睡眠慣性があるから仕方がない
皆さんも聞いたことがあるかもしれない「慣性」という言葉、大まかに言えば「外から何も力が働かなければそこに留まろうとする性質」のことと思っていただいて構いません。
停車している電車に乗って、動き始めたら進行方向と逆に体が動いてしまうのは、人間に慣性が備わっているからですね。
それと同じように、人間の体には睡眠と覚醒のリズムに慣性が備わっていると考えてください。
朝起きようとすれば、もともと寝ている状態なわけですから、外から何も力が働かなければずっと寝ていたいわけです。
ですが、そこにホルモンの複雑な動きが加わり、皆さんの忌み嫌う目覚まし時計の音や振動も加わることでようやく体は朝へと動き出すのです。
電車に乗っていて、その細かい動きに体を同調させてまったく動かない人なんて見たことないですよね。
それと同じで、大なり小なり朝起きるときに「起きたくない、もっと寝ていたい」という感覚が生じるのは非常に自然な感覚なのです。
ですから、まず朝起きることが辛いのは当たり前のことと思ってください。
そこで、その慣性が働く時間を少しでも短く、影響を少しでも小さくしようという方法を考えていきましょう。
二度寝やスヌーズ機能は使わない
もっとも簡単な方法は、睡眠慣性に従ってしまうことです。すなわち「二度寝」ですね。「まだ、こんな時間か」と再び布団の中に入る、その瞬間は何物にも代えがたい甘美なものですが、それはただ睡眠慣性に思考も身体も負けてしまっている証拠です。次のアラームで嫌々ながら起きることを考えると一回で起きたいですよね。
医学的にも一度起きて再び寝ることは、睡眠覚醒リズムを崩してしまうことが分かっています。
それであれば、一度頑張って起きてしまって午後に軽いお昼寝を導入する方が圧倒的に効率が良いです。
二度寝をすると、その習慣が身に付きますから、一回目の深い睡眠が短くなることは火を見るより明らかですね。
同様の理由で、スヌーズ機能を使った起き方もお勧めされません。
実は、「明日は何時に起きなくちゃ」とイメージするだけでも、身体と脳は逆算してホルモンを分泌してくれるのです。
翌日が休みであった場合に目覚ましをかけなければ比較的長く寝てしまいますよね。
一方で、翌日が仕事で目覚ましをかけたにもかかわらず設定時刻のきっかり5分前などにパッと目が覚めて「あと5分あるな」という経験はありませんか?
せっかく身体のホルモンが一回で起きようとしているのですから、そこに乗じて心地よいスタートダッシュをしてみませんか。
カーテンを開けて陽の光を取り入れてみる
睡眠慣性が働く瞬間に一つ簡単にできることは、太陽の光を浴びることです。
蛍光灯やパソコンの画面よりはるかに照度の高い光を浴びることで、脳が朝を認識します。実はメラトニンという睡眠覚醒物質(いまは、その程度に認識しておいてください)が分泌のリズムを作り出し、翌日の睡眠と覚醒の質をあげてくれます。
そして、暑かろうが寒かろうが、一度窓を開け放ってお部屋の空気を入れ換えてみてはいかがでしょうか。
眠りの時間に予想以上に空気は淀んでいます。その日そのときの空気を取り入れることで、その日一日の印象を思い描いてみましょう。
「雲一つない快晴だな」「雨が降っているな。もう梅雨か」など、思い描く感情は人それぞれですが、自分なりの朝の始まりをそういう感情で形作ってみると、意外と頭のなかに残りますよ。
ベッドや布団を整える
もう一つ、短い時間でできること。それが「今まで寝ていたその寝具を調えること」です。
起き抜けの乱雑な布団はそれだけで二度寝を誘います。
それを思いきって綺麗に畳んでしまいましょう。
昨日は一日ありがとう。また今日の夜もよろしく。
そういう気持ちで畳んであげることができれば、きっと良い睡眠がとれるはずです。
綺麗に畳んでしまえば、またそこに飛び込もうは思いませんよね。
そのベッドに身体を潜り込ませるのは夜にしようかな、という気分になれますね。
シャワーを浴びてみる
朝のホルモンが動き始め、身体が起きようとするときに、慣性を断ち切る外からの力として、「朝のシャワー」もお勧めします。
少し熱いシャワー(よく言われるのは42度などですが、皮脂を過剰に取り除くことにもなるので心地よいと感じる温度で結構です)を浴びることで副交感神経→交感神経へのスイッチが切り替わります。
寝ている間に汗も出ますし、未明にかけて体温も最も低下しますから、シャワーを浴びて身を清め身体を温めるのは理にかなっていると思います。
お湯を浴びている瞬間は、手を洗うのと同じく嫌な気持ちも不安も水に流されるような心地になりますから、寝ている自分の弱いところを洗い流してしまいましょう。
結局、やり始めれば「なんとかなる」
これは皆さんも経験があることかもしれません。毎日毎日嫌な気持ちで朝起きて仕事に行くことを繰り返していても、結局何とかなっている。
今、あなたの前にある「今日」はたくさんの「過去」でできています。
そして、一日が何事もなく過ぎていく。
そうであるなら、今日だって同じなはずですよね。
もちろん大変なことはあるかもしれませんが、日中の仕事にいつしか没入していって、また一日が終わっていく。
皆さんが朝起きて「ああ、嫌だなあ」と感じる瞬間は、朝起きたときの夢への名残のようなものです。
起きた瞬間と、仕事へ向かっている瞬間、仕事を始めた瞬間、その「嫌だなあ」という感情は刻一刻と色味を変えていっています。
それくらい、人間は鈍感で、同じ気持ちを持ち続けるのが難しいのです。それを逆手にとってみてはいかがですか?
行動を始めることが大きな第一歩なのです。
おわりに
朝の過ごし方は、習慣にすることでどんどんとよくなっていきます。
ここでご紹介したことは、私が色々な先生の話を聴いたり、睡眠医学の本を読んだりしたことのエッセンスです。
私も毎日そういうことを実践しては修正を繰り返しています。
今では、そういう試行錯誤も楽しいイベントの一つです。
ちょっとでも皆さんの朝の助けになることができればと思います。