生活・ライフハック

【眠りを制する】休みなしでも体調を崩さない良質な睡眠のとり方

はじめに

以前に書いた記事でも説明していますが、睡眠は人生の3分の1を占める重要な行為です。しかも、睡眠の質によっては翌日の時間の過ごし方がほぼ決定されてしまうといっても過言ではありません。

巷には多くの睡眠に関する本が出版されており、手に取られた方も多いのではないでしょうか。

年齢を重ねるにつれ、寝ようと思っても寝られない人や、途中で起きてしまってなかなか寝付けない方もいらっしゃると思います。

「こんなに寝てしまって大丈夫なのだろうか?」

とか

「長く寝るとどうしても体調が悪くなっちゃうんだよな」

と、自分の睡眠に自信がない方もいらっしゃることと思います。

タイトルにある「睡眠医学」というのは、まだ実際にきちんと確立された分野ではありませんが、精神・神経医学をはじめとした多数の医学の領域で睡眠が非常に重要で興味深いテーマになっていることは、すでに医療界では既知の事実となっています。

例えば、睡眠が大うつ病性障害(いわゆるうつ病)や脳卒中、心筋梗塞などの心血管障害に密接にかかわっていることなどはテレビでもご覧になったことがあるかもしれませんね。

ですが、そんな睡眠に関する情報は、皆さんが色々と気になるあまり、メディアではたまに不必要なデータであったり、間違った情報を流してしまうことも少なくありません。

最近の話で有名なのは、とある睡眠薬(ベルソムラ®)が糖尿病を改善させるという情報ですね。

睡眠薬は糖尿病を直接改善させるわけではありません。いずれも、睡眠の質を改善させることによって生活習慣病をはじめとした多様な疾患の予防につながる可能性があるということをあくまで示唆しているだけなのです。

この記事では、皆さんが陥りがちな睡眠に対する誤解を、医学的な視点からある程度詳しくご説明するとともに、より良い睡眠の質を手に入れて、明日から元気に動くことができるようなお話をご紹介していこうと思います。

日本は最も眠らない国

まず初めに、諸外国の中でも日本は最も眠らない国であるということを知ってください。皆さんが普段「6時間くらいしか寝ていない……」とか「7時間30分も寝た!」などと話しているときに、外国の方々はもっとしっかり寝ているのです。

それでいて、労働時間は諸外国よりも平均的に長いと来ているわけですから、驚きですね。

もちろん、高度経済成長をこの日本人の勤勉さが支えてきたといっても過言ではないと思いますが、医師としてこの状況を客観的に見ていると、今後の日本は睡眠の質がどんどん低下していってしまうように思えます。

眠れないことに対して睡眠薬という「魔法の薬」に頼りがちなのも日本人の習性なのかもしれません。

実は、睡眠は習慣や環境を変えることによりある程度質をよくすることができるのにもかかわらず、即効性のある睡眠薬を使って良眠を得ようとする。

しかしそれは、睡眠薬の薬理学的な作用メカニズムを考えても本質的ではないと言えます。

睡眠薬を使っても睡眠の質は向上しません。外側から無理やり化学物質の動きをコントロールして「寝る」状態を作り出しているだけだからです。

労働の質を高めたいのであれば睡眠の質を高めるべきですし、普通の仕事時間ではとてもではないが仕事が終わらないという方であれば仕事の効率化を模索してもよいかもしれません。

いずれにせよ、仕事や勉強、なにかの義務のために睡眠時間を削るということは、無自覚のうちに寿命をどんどんと削っていってしまっているようなものです。

朝、起きて「眠いなあ」と感じたときには、睡眠不足である可能性が高いです。もしも、夜遅くまで起きていたという自覚があるのであれば、睡眠の方法について反省しなければなりません。

そもそも、眠い目をこすって仕事や勉強をすることほど効率の悪い行為はありません。だったら、良質な睡眠をさっさととって、朝に気持ちよく目覚めたうえで、昨日の続きをやるのが一石二鳥と思いませんか?

働き屋さんだからこそ睡眠が必要

先ほども申し上げましたが、日本人は勤勉で、ともすると夜遅くまで残業して仕事を片付けて、家に帰ると倒れるように眠ってしまうという方も少なくないのではないでしょうか。

私は医療業界におりますが、特に医師に関してはその傾向が顕著で、朝早くから休憩も挟まず夜遅くまでパソコンと格闘し、月に何回もある当直をこなしていく。当然、犠牲になるのは睡眠時間です。

睡眠時間を削ることにより日中の労働の効率は確実に低下します。

睡眠時間の長短はそのまま倦怠感などの身体状況に影響することはないとされていますが、あまりにも短く、その人に合わない睡眠時間を長くとり続けていることにより、飲酒をしているのと同程度の注意力低下を引き起こします。

結果として、労働効率が落ちたために夜遅くまで仕事をしなければならなくなる。

そうすると、さらに睡眠の質は低下の一途をたどり、さらにまた翌日も注意力が低下した状態で仕事に臨まなければならない。

勉強にしても、一夜漬けで頑張ろうとして夜遅くまで勉強するのはいいですが、翌日には確実に何割かの記憶が抜け落ちているはずです。

しかも、100%の状態からスタートするわけではないので、その日に勉強しようとしてもまた何割かが抜け落ちてしまう。そうなると夜遅くまで勉強することが逆にマイナスに作用してしまうことさえあるわけですね。

毎日、労働なり勉強なりで成果を出し続けなければならない皆さんにおいて、その日一日の効率が下がるということはあってはならないことのはずです。

皆さんは、インフルエンザにかからないようにするためにインフルエンザの予防接種をされることはしても、良質な睡眠をとるための努力というのはどちらかというとおろそかになりがちなのではないでしょうか。

睡眠は寿命と直結する

もっと言うと、睡眠は今日明日の質を決定するだけではなく、長期的な視点で見てみると健康寿命にも影響しています。

簡単に言うと、睡眠というのは寝ている最中に脳の神経細胞や身体の細胞を休める時間でもあるわけです。

よく言われるのは、レム(REM: rapid eye movement 急速眼球運動)睡眠のときには身体が休み、ノンレム(Non-REM)睡眠のときに脳が休むというお話です。

一日を通して人間が睡眠という時間が絶対に必要なのは、絶えず起き続けていることにより心身にダメージが蓄積していってしまうからなのですね。

そういった身体のダメージが蓄積していくことが、血管に及んでしまえば動脈硬化を引き起こして高血圧症、ホルモンに影響を及ぼしてしまえば糖尿病や脂質異常症(いわゆる高脂血症)、そしてDNAに及んでしまえば悪性腫瘍を引き起こすもとになるわけですね。

睡眠不足はすべての疾患の元凶となりえます。

脳の細胞にも影響が及んでしまうと、最悪の場合、認知症のリスクさえ上がることが知られています。

一生懸命勉強して仕事していたはずが、いつのまにか認知症になっていた……などというのは、本末転倒ですね。

高血圧症や糖尿病はそれだけでは症状を引き起こしませんが、時間が経つにつれて確実に心疾患や脳卒中の危険性を上昇させます。

心筋梗塞や脳梗塞などの病気が発症したときには、もとあった身体機能が失われてしまいます。

こう考えると、今睡眠時間を削って無理をすることにより、将来の寿命を先取りしてしまっているような気持ちになりませんか。

しかも、睡眠不足から始まる諸問題は、最後の最後に大きな病気となって目の前に現れないと気づかれない。

そう考えると、睡眠は将来の健康に対する投資のようなものだと思えます。

睡眠不足は、せっかく積み立てた資産を、利益が少し乗ったからといって売却してしまうようなものです。

それを繰り返していると、いつの間にか税金分だけ損をしていってしまいますよね。投資も睡眠も将来のために着実に積みあげていく考え方が重要です。

日本人は長生きというように言われていますが、それは死亡までの年齢が長いだけであり、皆さんがいまこうしてブログを読んだりしている「健康的な」寿命とはまた異なる話であるということを理解しなければなりません。

実際、先ほどお話ししたようないろいろな病気により、制限された生活を余儀なくされている患者さんは数多くいらっしゃいます。

その中に「睡眠不足」という要因が潜んでいるのであれば、解決しないわけにはいきませんね。

睡眠は、身近にあって一日一日のなかで最も実践しやすい内容です。

睡眠時間に関する大きな誤解

皆さんは寝る時間について考えたことがあるでしょうか。

今までさんざん睡眠不足は健康に悪いという趣旨のお話をしてきたので、「睡眠時間が短いと悪い」「睡眠時間が長ければよい」ということを想像されるかもしれません。

ですが、睡眠時間の長短でいうと、これは「長ければいい」「短いと悪い」というようなスッパリと切れる関係ではないのです。

つまり、睡眠時間が短いか長いかというのは完全に個人個人で異なるのです。長く睡眠をしなければいけない人と、短い睡眠で問題なく過ごせる人がいるということです。

一般的に、皆さんはどれくらいの睡眠時間を「長い」「短い」という風に考えられるでしょうか。

例えば、「一番いい睡眠時間は約7時間だ」とか「90分サイクルで寝るのがよい」という話は聞いたことがあるかと思います。

恐らく、7時間という数字は多くの人の睡眠時間の平均値に近い数字であり、当たり障りのない数字なのでしょう。

90分サイクルというのはよく出てくる話ですが、人間の睡眠には「深度」があり、それが90分サイクルで繰り返されるということを指しているようです。

睡眠のサイクル

少し細かい話になりますが、90分サイクルで起きる睡眠の細かいリズムについて解説しておきましょう。

まず、90分サイクルで起きる睡眠リズムは「ウルトラディアンリズム」と言われ、

・夜に必ず眠くなる「サーカディアンリズム

・午後に少し眠くなる「サーカセミディアンリズム

に次いで、人間が習慣として繰り返す睡眠の波を指します。一般的には睡眠時に生じる睡眠の深度の動きを指して言うことが多いですね。

ヒトは眠りに入ると少しずつ睡眠の深さが深くなっていきます。これを大きく分けて4つのステージに分けます。

これを、次の章で簡単に説明してみましょう。

睡眠のステージ

(1) ステージ1 うつらうつらし始める

簡単なイメージとしては、パワーナップをとっている瞬間が近いです。

誰かに呼びかけられたら瞬時に反応することができるレベルです。

パワーナップに関しては別の記事でもご説明していますので、見てみてくださいね。

(2) ステージ2 意識がなくなってくる

ざっくりとしたイメージです。

比較的深い眠りではありますが、脳波を解読すると音の刺激などにはほとんど素早く反応することができるステージです。

(3) ステージ3と4 ぐっすり眠る

大きな声で呼びかけられたり、身体を揺さぶられないとなかなか起きない程度の睡眠深度です。

このタイミングでは、脳も深く眠っているような状態ですので、起こされてしまうと疲労感が残ってしまうことになります。

また、緊張が持続している状態だと、ここまでの睡眠深度に到達することは少ないです。

一方で、しっかりと心身が修復されるために必要なのもまた深い睡眠ですから、なるべく自宅で誰にも邪魔されず眠ることができる場合には、この深い睡眠を得られることが重要になってきます。

この瞬間に、成長ホルモンをはじめとした身体を修復する因子が働き始めるからです。

実は、ステージ3や4の深い睡眠というのは一夜の睡眠で一貫して同じ量出現するわけではありません

入眠した一番初めに最も深くなり、それ以降は朝に向けて少しずつ浅い眠りになっていくわけです。

考えてみれば「起きる」行為が必要なわけですから、朝になっても入眠したときと同じような状態であると困りますね(笑)

90分サイクルというのは、90分経ったときに「浅い眠りになっているから起きやすい」ということを前提として話がされているものです。

先ほども述べましたが、深い睡眠のときに起こされると身体はかなりつらい思いをします。

しかし、朝方にかけてはそういう深い睡眠にとって代わって、浅いステージ1や2程度の睡眠とREM睡眠が多くなってきますので、全睡眠時間を通して90分サイクルがいいわけではないのです。REM睡眠に関しても簡単に見ておきましょう。

(4) REM睡眠

端的に言うと、身体は休んでいるものの、脳が活動状態にある睡眠周期です。

このタイミングで、脳は様々な情報を整理しているともいいますね。

また、明け方にかけてREM睡眠は増加し「夢」を見ることが多いとされています。思考の整理の結果が「夢」で、REM睡眠のタイミングで起きることにより、なんとなくぼーっとした頭の中で夢を感じている、ということになります。

二度寝はしてはならない

このことを踏まえると、仮に朝少し早く起きることができて二度寝をしても、睡眠周期としては既に浅い眠りにしかならないということがよくわかります。

身体を休めることも脳を休めることもできないわけですね。

二度寝をしたくなるような眠たさは、正しい睡眠がとれていないかもしれないので、逆に睡眠の質を見直すチャンスにもなります。

 

自分に合った睡眠時間を知る

自分に合った睡眠時間を知ることはとても簡単で、「朝起きたときの体調」で感じることが一番です。

寝る前に例えば7時間30分の睡眠時間を確保して目覚ましを設定しても、一向に身体がすっきりしないという経験をされたことがあるのではないでしょうか。

これは、先述の睡眠ステージの理由でもありますし、そのほかにも、自分にとって最適な睡眠時間でない可能性もあるからです。

世の中には平均睡眠時間よりも長い睡眠時間が必要な「ロングスリーパー」と、それよりも短い睡眠時間で大丈夫な「ショートスリーパー」がいます。

ロングスリーパーの場合は9~10時間程度、ショートスリーパーであれば5~6時間以下の睡眠時間となります。

どちらも1割程度ですが、必ずしも7時間程度の睡眠が万人に合った最適の睡眠方法ではないということを示しています。

一番簡単な「自分に合った睡眠時間」を知る方法は、以下の通りです。

何もない休日の前日に、眠くなったら床に就き、そして目覚ましをかけずに1回目で起きた時間を計測してみること。

例えば、午後22時に眠くなって床に就く→午前6時30分にパッと目が醒めた→8時間30分程度が自分にとって最適な睡眠時間である可能性がある、というようにです。

ですから、「明日は休みだからぐっすり寝るぞ!」と長く寝てみても、実際は翌日になってみてあまりよく寝た感じがしないという現象が生じてくるのです。

以前にもお話ししましたが、とにかく睡眠は習慣ですから、平日であろうと休日であろうとリズムを変化させてはいけないのです。

以下の記事でも日曜日の夜を例にとって解説しています。

睡眠の質を高める食事

食事は人間の体を作る重要な行為です。栄養素のバランスは、ときとして人間を高血圧症や糖尿病へと至らしめ、一方では無病息災の特効薬にもなりえます。

睡眠という観点から言うと、まずは睡眠に必要なホルモンであるメラトニンについて説明する必要があります。

メラトニン

メラトニンは脳の中にある「松果体」という本当に小さい部分で産生されるホルモンで、睡眠のリズムを司っています。

メラトニンは「メラトニン受容体」という宛先があって初めてその作用を発揮し、質の高い睡眠を実現することができます。

このメラトニンは、他にも抗酸化作用を有しており、人間の体にとっては必須と言えるホルモンです。

アメリカではサプリとして使用されることもありますが、日本ではまだ認可が通っていません。

後述する睡眠薬の中にもこのメラトニンに対する活性をもつ薬剤がありますが、今の時点で私たちがメラトニンの生産を促すためにできることもいくつかあります。

それは、その原材料のアミノ酸を摂ることです。

どこかで聞いたこともあるかもしれませんが「必須アミノ酸」という、生体に必要だが外からとらないといけないアミノ酸が存在します。

そのなかでも「トリプトファン」という物質はメラトニンのもととなるアミノ酸であり、必須アミノ酸に分類されます。

このトリプトファンはメラトニンのほかにも、神経伝達物質であるセロトニン(うつ病の患者さんなどではこれが減少していることも多いですね)のもとにもなっており、適量を摂取することにより情動面でも安定させる作用が期待できます。

では、そのトリプトファンはどのように取ったらよいのでしょうか。

メラトニンの原材料となるトリプトファンを多く含む食べ物

アミノ酸は、市販のサプリメントなどでも摂取することができますが、それはあくまでも「サプリメント」であって補助的なものでしかありません。

私は医師として様々な患者さんとお話しする機会がありますが、食事よりもサプリの方を優先して採っている方もたまに見かけます。

食事はサプリと異なり、単一ではなく複数の成分をバランスよく摂取できるというのが強みです。食事をとることによる消化管の運動や好きなものをとることによる気分の変化も得ることができますから、まずは食事から摂取することを心がけましょう。

(1) 大豆

摂取過剰はよくないですが、イソフラボンを始めとした多くの成分を含み、飲料からも摂ることができますから、手軽に摂取することができる食品の一つとも言えます。

(2) 魚介類

こちらもトリプトファンのほかにも健康に良いとされる脂肪酸を多く含んだ食品です。なかなか毎日の食事の中に取り入れることは難しいと思いますが、定食などを注文する際に魚介類を含んだものを頼むだけでもよいでしょう。

(3) 肉類

個人的には鶏肉に多くのタンパク質が含まれ、カロリーも低いのでお勧めします。

豚肉も牛肉もバランスよく摂取するのが一番ですが、どれかを一つ選択するとするなら鶏肉の摂取をお勧めします。

最近ではコンビニでもサラダチキンを始め、チキンを使った食品が多く提供されるようになりましたから、手軽に摂取できるものの一つになりましたね。

(4) チーズ

普段から単体で摂取することは少ないと思いますが、例えばお酒を飲むときに一緒に摂取することにより、消化管へのダメージを軽減するとともに、良質な栄養を摂取することができるので一石二鳥です。

ここでたまたまアルコールの話が出てきましたが、良質な睡眠のためにアルコールを摂取することはお勧めできませんアルコールはそのメカニズムから「だいたい睡眠薬と同じ」という風に私は説明していますが、睡眠薬と異なり、アルコールは利尿作用があることと、アルコールの分解によりアセトアルデヒド(二日酔いの原因物質と言われていますね)を生じて睡眠を浅くしてしまう作用があるので、仮に飲むとしても就寝数時間前までには終わらせておきましょう食事も同様で、摂取直後に寝ることはお勧めしません。

アルコールに関する様々な利点・欠点もご紹介しようと思いますが、やはりアルコールは余裕を持って、少量摂取するのが一番よいです。

睡眠の質を高める運動

睡眠の質のみならず、不安や憂鬱な気持ちも同時に消し去る特効薬でもあるのが運動です。「疲れたから運動しない」という発想は、さらに運動不足を招き、疲労感を助長することになります歩くのでも構いませんから、毎日しっかり時間をとって運動するようにしましょう。

歩くということは「有酸素運動」ですが、筋トレを始めとした「無酸素運動」も併せて行うことをお勧めします。

むしろ、順番としては筋トレを行うことの方が重要かもしれません。

これについては結論の出ていない領域も多くありますが、筋トレをすることによって成長ホルモンは確実に分泌されるようになりますし、筋肉が増量することによって取り込まれる糖質の量も上昇しますから、生活習慣病の予防にも繋がります。

書店を通りかかったときに、『筋トレが最高のソリューションである』という主張の強い書籍を見かけました。

確かに、筋トレをすることにより様々なホルモン動態の変化が生じ、睡眠の質も深まります。

有酸素運動は運動した分のエネルギー代謝をしますが、無酸素運動を併用することにより筋肉のエネルギー代謝も増加し、有酸素運動だけでは消費できないカロリーも消費することができます。

年齢が若いうちに筋トレをしておくことにより、年齢を重ねていっても筋肉量が維持されて、健康寿命(寿命とは異なり、自力で歩いたり生活したりできる時間)が延伸するということもいえるでしょう。

そういった意味で、筋トレはある一つの解を与えてくれるのでしょうね。

睡眠に関しても、「少しきついな」と思う程度の筋トレをすることによって、ダメージを受けた筋線維を修復するために睡眠の質が自動的に上がります。

あまり激しいと、交感神経を始めとした「戦闘」のホルモンが活性化してしまいますから、入眠しづらくなることもあります。

負荷を少しだけ高めてあげることでより深い睡眠を手に入れることができるでしょう。ただし、睡眠の直前に筋トレをすることはお勧めできませんので、会社勤めの方は定時に上がり、運動の枠を確保する必要があります。

実は、この「枠を確保する」目的があることで仕事の効率を上げることを考えるという作用も生まれてくる。帰って寝るだけだと残業をだらだらとしがちですから、仕事と睡眠の質を高めるための運動の枠をとるという目的をはっきりさせて仕事に臨みましょう。

それもなかなか難しいという方は、まず仕事のなかで運動を取り入れる思考を持つとよいと思います。

私は実際に通勤するときは徒歩か自転車で出向き、院内でも階段を使うように心がけています。

睡眠の質を高める思考

本来であれば、睡眠する前には一切の考え事を寝室に持ち込まないということが最も良い答えになります。

もしも寝られるのか、明日は何か起きないだろうか、そういう不安を抱えながら布団に入る状態になったのなら、今までどんなことがあっても睡眠はとれていたし、一日何事もなく終わったじゃないか」と考えてみましょう。

生まれてから今まで、一睡もできないという状態が持続したことはありませんね。

それくらい、人間にとって睡眠は必要であり、自動的にできるものなのです。もちろん、病気として寝られなくなってしまいやすい状態になる患者さんはいますが、普段の生活で「いつも寝ようとすると色々と考え事をしてしまう」という方は、一度椅子に座って納得のいくまで考えてみましょう。

今、こうして床に就くことができているのは一日が無事に終わったからです。そして、それはまた明日もきっと続く。

安心して床に就いてください。もしも、床に就いた後に気持ちが落ち着かなかったりする場合は、次に説明する道具や環境に頼ってみてもいいかもしれません。

睡眠の質を高める道具と環境

アロマは手軽にできる香りの睡眠導入剤

まずは寝室の香りを整えてみることから考えてみましょう。数千円で実践できる環境の革命で、一番簡単なのは「アロマ」を使ってみることです。

よく言われるのはリラックスの神経を活性化させるラベンダーのアロマですね。ディフューザーと一緒に使うか、枕元に素焼きのアロマストーンを置いてみてもいいかもしれません。

安く手に入るものもありますから、手軽に始めてリラックスできる時間を確保しましょう。

アロマに関連した話にはなりますが、もしも朝に余裕があるのであれば、気分を朝モードに転換させるためには柑橘系のアロマを使い分けるのもお勧めです。具体的にはレモンやイランイランなどのすっきりとした香りが主体のアロマですね。

寝室の室温を少し低めに保っておく

これは、入浴して自身の深部体温が高くなったあと、少しずつ下がる過程で眠くなるという性質を利用したもので、寒すぎないが「暑い」と感じることのない、涼しい環境にしておくことで、深部体温は自然に降下し、眠気をいざなうという方法です。

色々な書籍やサイトには適温が記されていますが、結局は自分が一番心地よいと思った温度に設定するのが一番です。特に夏場は湿度が高くなりますから、除湿することを忘れないようにしましょう。

冬に関しては、暖房をかけて温かくして布団も厚くして床に就くという方が多いと思われますが、あまり暑くしすぎると体温の逃げ場がなくなってしまうので、逆効果になってしまいます。

暖房は少し控えめにして、布団に入ったときに自身のお風呂上がりの体温で温かいと感じるくらいの温度がちょうどよいかと思います。

人間は早朝にかけて深部体温が最も低下しますから、そこから体温が上がってくる朝方にかけては、就寝するときとは逆に身体を温めてみましょう。

具体的な方法については以下の記事で解説しています。

寝室は寝ることだけに使う

これも、意外と忘れがちなポイントです。

寝室は心地の良い空間ですから、つい色々と荷物を持ってそこで過ごしてしまいがちです。

特に、パソコンやスマホなどは寝室に持ち込まないようにしましょう。パソコンやスマホの光は、それだけで睡眠・覚醒リズムを障害します。

もし持っていくとするなら、静かな音楽や間接照明くらいにしておきましょう。そこで、音楽を聴いたり本を読んだり(これもあまり興奮するようなミステリー小説や漫画は避けましょう)しながら、自然に眠気が訪れるのを待ちましょう。

少し眠くなり、ぼーっとしてきたら本を置いて布団を被るのがベストタイミングです。

もし、まだ頭が冴えて眠れないのであれば、一度寝室から出て、本を読んだりして再度眠気が訪れるのを待ちましょう

寝室はあくまでも眠るための場所なので、それ以外のことに使ったり、眠れないという条件付けを寝室にしてしまうと、眠れるはずが寝室に入っただけで眠れなくなってしまう可能性もあります。

睡眠薬の功罪

皆さんは睡眠薬についてどのようなイメージを持っていらっしゃるでしょうか。入眠のサポートだったりとか、ぐっすり眠れるようにできる薬というイメージがあるかもしれません。

睡眠薬は、一般的に使用されているものはベンゾジアゼピン系という、アルコールに似た作用を持ち一時的に興奮を抑えることで睡眠を誘うタイプの睡眠薬です。

なかでも、作用時間によって

超短時間作用型

短時間作用型

中時間作用型

長時間作用型

などと使い分けますが、これは入眠障害であったり、中途覚醒、早朝覚醒など、睡眠障害が生じるタイミングを狙ってのことです。

もしも、どうしても眠れないと感じるときは、医師の診察を受けるようにしてください。

婦人科や内科などでも睡眠薬の処方は可能ですが、睡眠生理学などに詳しい精神・神経科や睡眠を専門にしているクリニックなどの受診がベターかもしれません。

睡眠薬は当然睡眠をサポートする薬ですが、決して万能ではありません。

常用し続けることで少なからず耐性ができたり、使用量が増えればコストもかかってきます。

寝ることができないから睡眠薬を増やして対応するのではなく、睡眠することができない根本的な原因をまずは探るようにしましょう。

ただ眠れないだけではなく、その背景に睡眠時無呼吸症候群などの睡眠疾患があったり、うつ病などの精神障害が潜んでいる可能性もあります。

病気の症状の一部分として睡眠障害はよく出ることがあります。これに対してすべて睡眠薬を使用してしまうと、うわべだけの症状はよくなりますが、根本的な原因はよくなりません。

長期的に不眠が持続する場合は、一度精査をすることをお勧めします。

また、最近では自然な眠りをサポートするために、先述したメラトニンという物質の受容体を刺激する「メラトニン受容体作動薬」や、覚醒の中枢を抑制する形で睡眠を誘導する「オレキシン受容体拮抗薬」なども新しい薬として使用されており、高齢者に対しても安全に使用することができることが分かってきています。

自分の症状と、困っていることを明らかにすることで、適切な睡眠薬を使用することができますし、あるいは睡眠薬を使用せずとも環境調整で良好な睡眠がとれる可能性もあります。

まとめ

良質な睡眠をとることにより、体力が回復するばかりか、基礎代謝もよくなりえます。

ダイエットを目指している方もまず睡眠状態を改善すると効きます。

反対に、睡眠不足が持続することにより認知症のリスクや、認知症に移行する前段階の軽度認知機能障害へ進展するリスクが増加します。

心疾患や脳卒中のリスクも総じて上昇することも知られています。

ここで紹介したことはすべてではありませんが、一般的に推奨されている事柄をまとめてご説明しました。一つでもこれからの生活に取り入れて、心地よい睡眠とともに、清々しい朝を迎えられることを願っております。

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  • この記事を書いた人

Zen

4,000万円の負債を背負い、日々労働に明け暮れる薄給内科医です。 私を迷うことなく選んでくれた妻と一緒に、経済的自由を目指します。 とりあえず身体を壊さないように30代で5,000万円の金融資産を作ります! 経済的自由を得るまでの道のりを記録していきます。 最後に全員を幸せにして笑って生活するのが夢です。 応援よろしくお願いします(´ー`)

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