仕事のモチベーションは何で維持されるのか
皆さんの労働は、外からの強制力でほとんど成立しています。
そうすると、与えられた仕事を消化するという形になります。
結果は、すべてこなして「0」になるか、ちょっと残ったりミスをしてしまったりして「マイナス」となります。
毎日の結果が「0以下」で返ってきてしまう仕事は、なかなかモチベーションを上げることができません。
対策を立てるとするなら、大きく分けて以下の2つになります。
(1) 仕事以外の時間=自分の生活の質を高める
(2) 仕事そのものの質を高めてしまう
(1)はいわゆる「ワークライフバランス」です。ただ、ワークの部分が置き去りにされてしまっていますので、仕事の結果は「0以下」の状態が続いてしまいます。
反対に、(2)は「0以下」から「0より上」の結果を残すことも可能になります。
今回は(2)の「仕事そのものの質を高める」ことに関して、モチベーションを上げる一つの方法をご紹介します。
人間は他人の役に立つことを有意義と捉える
もともと人間は自分のことだけではなく、他者が喜ぶようなことをするのが好きな生き物です。
誰かから「ありがとう」と言われたり、「助かったよ」と言ってもらえたら、気分が悪くなる方はいらっしゃいませんよね。
例えば、段差の多いバスに乗ろうとしている高齢者の方の持っている荷物を「持ちましょうか」といって持ってあげる。「ありがとう」という言葉が返ってきたときに、嫌な気持ちになる人はいないでしょう。
仕事でも同じようなことが言えます。
上司や同僚から「これやってもらえる?」といって課された仕事をやっているだけでは、「役に立っている」という感覚は湧いてきません。
一方で、自分から「これやりましょうか?」ということによって「助かるよ!」と言ってもらえたときは、同じ仕事をこなすはずなのに、自分の気持ちが変わってくると思いませんか?
先ほどのバスの話でも、「荷物持ってくれる?」と言われて、持ちはするけれども、そこに残る気持ちはどうでしょうか。
人間は、自発的に役に立ちにいく行動をすることによって、主観的な仕事の質が高まるようになるのです。
仕事も他人の役に立つように行動することでモチベーションを上げる
そう考えると、「他人から課されている仕事」を「自分からしている仕事」と捉えたほうがお得だと思いませんか。
考えるだけではどうしようもないというようであれば、わざと一つでも積極的に「何かお手伝いしましょうか?」と言いにいってみるのです。
上司であれば「何かできる仕事はありますか」と伺っても良いでしょう。もちろん、自分の仕事をある程度きちんと終わらせておく必要がありますから、さらに一歩能率の向上を図る必要があります。
同僚でも部下でも「手伝えるものがあったらやるよ」と一声かけるだけでも、その場の雰囲気は一瞬でも緩やかなものになります。
自分から積極的に動くことは2つの利点を生み出します。
一つは、得られる経験や知識が最大化されるようになることです。
心理学の言葉で「内発的動機付け」という言葉があります。
これはその言葉の通り、自分の内側から「やろう」という気持ちが湧きあがり、それに基づいて行動することです。
その反対が「外発的動機付け」で、賞罰や強制力などで動かされる状態です。
学習に関する心理学を簡単に概観したい方は以下の書籍がお勧めです。
モチベーションや得られる結果で考えると、常に内発的動機付け>外発的動機付けの状態となります。
よく考えれば当たり前のことですが、「やれ」と言われてやるよりも「したい」と思ってする方が「やりがい」がありますよね。
もう一つは、自然と他者からの評価が変わってくるということです。
外からの強制力でこなす仕事は、どれだけノルマを達成しても他人と変わりません。しかし、自分から積極的に取りに行く姿勢はなかなか他の人もまねできるものではありませんから、良い意味で目立って見えます。
「仕事に余裕があるから」とどんどん仕事を振られるのではなく、「やってくれるかもしれない」とみんなが待つようになったら大成功です。
どんどん自分から積極的に仕事をとりにいきましょう。
そして、仕事がすべて「自分のやりたい気持ちのままにやる仕事」に置き換わったときに、ワークライフバランスに依存しない仕事そのものの質の向上が達成されるようになります。
勉強でも同じことが言える
内発的動機付けという言葉が出ましたので、勉強にも応用してみましょう。
勉強も、仕事と同じように「誰かからやらされる」よりも「自分からしたい」と思ったときの方が深く知識を掘り下げ、長く勉強することができます。
初学者の時点では「誰かからやらされる」時間がどうしても必要ですから、決して「外発的動機付け」の側面が100%良くないというわけではないのですが、ある程度の型を身につけたら、自発的に動く必要があります。
外からの強制力を取り除くと見えてくる「やりたいこと」
内発的動機付けはそう簡単に生まれてくるものではありません。
やらないことをきっぱりとやらず、外からの強制力でしなければいけない仕事は必要最小限の努力でカバーする。
その先に見えてくるものが「自分のやりたいこと」です。
毎日毎日、やらなければならない「タスク」が大量にあって、それらを消化するだけで一日が終わってしまうのであれば、いつまでたっても積極的に動くことができません。
そういうときには、以下の記事も参考にしてみてください。
おわりに
すべての生活は、自分が主体的に動くことによって彩りを増します。
禅の言葉にも、こういうものがあります。
随所作主 立処皆真
「随所に主となれば、立処皆真なり」
自分が主となって行動することによって、どの場所でもそれが「真実」である。
自分が自分として生きていくことの重要性を非常に端的に衝いた言葉です。
あなたは周りから動かされて生きていくだけの一生を終えるべき人ではありません。
ぜひ、自分の人生は自分が生きていくということを意識していきましょう。