パートナーが資産運用の考え方を持っていると強い
私は現在、いわゆるアラサーの立場にいる医師です。医師の業務としては比較的忙しい方で、体力的にも持ちますから、多数の当直を行い、時間と賃金を交換する労働の力を最大限に生かしているところです。
私には妻がおりますが、彼女は現在まったく職種の異なる一般職(OL)としてそれなりに大きな企業に勤務しています。
労働者という点では、まったく同じ二人ですが、継続的な収入源が二つ存在しているということは資産運用を考える点からも非常に重要なことになります。
とりわけ、パートナーが資産運用に対して協力的だと、その速度は加速度的に上昇していきます。
実際、私の妻は下手をすると私以上に資産運用に関するあれこれを勉強し、キャピタルゲインも含めた個別株投資を着々と進めているようです。あまり深入りせず、ときおり進捗状況を確認する程度で、基本的には自由なスタンスでやっているのですが、それでまごついたことは一度もありません。
比較的多忙とされる診療科で勤務していると、なかなかそこまで手が回らないというのが現状で、勉強しつつも私の投資戦略は
シンプル高配当株投資×労働で得られる収益効率の最大化×副業
の3本柱で考えていっているところです。
その一方で、比較的9時~17時の勤務でゆとりのある(その分収入としては少なくなってしまいますが)妻は、その時間をすべて勉強に充てて株式投資や節約・節税術に関する学びを深め、毎日新しいことにチャレンジしています。
お互いの職種こそ異なりますが、資産運用という点でも向いている方向はまったく同じで、「二人で豊かになる」という目標を掲げています。
二人とも、二人で一緒に資産形成していった方がはるかに効率が良いということを、何の話し合いもせず暗黙の了解で共有できているのですが、これができるのとできないのとでは資産形成のスピードが大きく異なってくるでしょう。
パワーカップルという概念
パワーカップルという言葉は以下の定義で表されます。
夫婦でそれぞれ700万円以上の収入があること
年収の額が若干違う定義もあるようですが、一般的には世帯年収の総合計が1,400万円以上あればパワーカップルと呼称されるようです。
パワーカップルであるためには、実質夫婦2人が働いている必要がありますが、労働収入でなくとも、副業や投資などで稼ぐことができていればパワーカップルと呼称されるに足る状態と思います。
国税庁調べではパワーカップルの要件を満たす700万円以上の所得のある給与所得者は
・男性で全体の19.8%
・女性で全体の3.4%
とかなり少ないようです。
共働き世代の1.8%がパワーカップルに相当する世帯となっていますが、およそ50世帯に1世帯しかパワーカップルに当てはまらないという状態です。
私たちも、この概念を手に入れることにより新たな目標ができましたが、実際の話、おのおのが700万円を超える状態というのはそう達成できることではありません。
子供がいない状態で、ある程度職業を選べば700万円ずつを達成することは難しくなさそうですが、ライフステージに合わせて職業を変化させていくことを考えると、個々人で700万円というのは難しい印象です。
医師は多忙ではありますが労働単価は比較的高く、時間の融通は良くも悪くも利きますから、その点を活かして総合計で1,400万円/年を達成するのは決して難しい話ではありません。
その点も、妻はよく理解していて、定時退社できる分、その他の時間を副業や投資、家事に充てて支えるというスタンスを取ってくれています。
このような、目標に向けて生活スタイルを決めていくというのは、節約・節税をはじめとして資産形成に大きな影響を及ぼしてくるでしょう。
パワーカップルを構成する世代が増加してくるのは、男性で30代前半、女性で30代後半からですが、それでも全体の1%にも満たない数です。
医師の話に限って言えば、若年時から相当量の給与が得られますから、それを無駄にすることなく資産形成に回すことにより、一足早く大きな資産を築いていくことができると考えられます。
私たち夫婦はパワーカップルの中でも最強と言われる「医師×医師」の関係ではありませんが、お互いに経済的地盤を早急に作り上げるという点で良く同意しているので、次にご紹介するダグラス・有沢の法則に当てはまることなく資産形成を進められているところです。
ダグラス・有沢の法則
1930年代にアメリカの経済学者であるポール・ダグラスが発見した法則で、のちに「ダグラス・有沢の法則」と呼ばれるようになったものがあります。
世帯主の収入と配偶者の就業率の間に負の相関関係がある
言い換えれば、夫の収入が高ければ高いほど、妻の就業率が下がる。こういう状態です。
700万円+700万円が1,400万円+0万円のような状態になると考えてよいでしょう。
これは個人の負担と税負担の両面であまり健全なことではありません。
よく言われるのは以下の3つです。
・所得が上がれば上がるほど累進課税で税負担が重くなる
・住宅ローンを組む場合は減税の適用額が異なる
*こちらは持ち家でなく賃貸での生活を主体に考えていますから無視できます。
・一方が体調不良などで収入を維持できなくなった場合のダメージが大きい
妻はかねてより、私の労働収入が高いことに対して、浪費で終わる妻にはなりたくないと明言していて、むしろ節約や節税などの支出減や収入の複線化をしっかり考えてくれています。
このように、パートナーがいる場合には2人の力を合わせて行うことにより、純粋な収入の倍加にとどまらず、2人いることによる行動範囲の拡大が資産形成をさらに加速させます。
パワーカップルを目指すのは精神的にも至難の業
お互いが高い年収を目指そうと思うと、いくつかの難関を突破しなければならなくなります。
当然、高い年収は高い労働ストレスと時間に一定の相関がありますから、きちんとした戦略を練っておかないと、いつの間にか収入に見合った支出に近づいていってしまいます。
パーキンソンの法則を再掲します。
パーキンソンの法則
・第一法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
・第二法則:支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
*シリル・ノースコート・パーキンソン『パーキンソンの法則:進歩の追求』から
お互いの仕事のプライドも年収に応じて高くなる印象がありますし、パワーカップルである以前に人間と人間のお付き合いであることを忘れてはならないということを痛感させられます。
しっかりとした信頼関係のもとで、資産形成の歯車は回り始めます。
結局は、お互いがお互いのためを考えるという行為が自然にできる状態にあることが、パワーカップルでいられる必要十分条件なのではないかなと思います。
実際、私も労働時間が長くアルバイトもしていますから年収は1,000万円を優に超えてきます。税制面の不利は様々な節税方法で軽減するとしても、夫婦で合わせると年収1,400万円は不可能な数字ではありません。
私自身も財産をみだりに使ったりすることのないよう気を遣う必要があります(多趣味癖が高じると支出が増えるということが過去の反省からよくわかっています)。
そして、二人で迎える様々なライフステージに合わせて資産の上手な使い方を話し合っていく必要があります。出産・子育てだったり、親の介護であったり、事業の拡大や職業の変更だったり、今後目まぐるしく変動していく「幸せの形」に十分な資産を充てられるように努力していく必要があります。
結局は、どちらか一方がいい加減な気持ちでは本当の意味での良い資産形成はできないのでしょう。
パワーカップルは誰にでもなれる
株式投資をはじめとした資産運用では、短時間で大きな利益を上げることは難しいです。
そして、年収が高い職業にすぐに転職することも不可能ですし、ストレスのかからない仕事の範囲内で生活することも重要な要素になってきます。
だからといって、選ばれた者だけしかパワーカップルになれないのかというと、そうではありません。
日々の質の高い生活を心がけることにより、選べる選択肢は格段に広がってきます。
こうして少しずつ種を蒔きながら、以下の記事でもお話ししているように、「着実に、ゆっくりと」資産形成をしていくことです。
資産形成は日々の努力と時間を味方につけるしかありません。
仕事をしながら資産形成をするという選択肢をとること自体が、難しくもレアなケースですから、それを継続できるようなシステムを構築していくことが重要です。
資産形成でストレスを溜めないように自動化し、時間を味方につける。
それを、カップル・夫婦で実践することができれば、純粋に効率が2倍になるばかりか、「助けあう」ことでプラスアルファの効率を獲得することができます(私もそれを実感しています)。
最終的には、2人で絶対に幸せになる。その手段の一つとして、資産形成は必要不可欠な要素となってきます。
今後は、2人で豊かになっていくまでの過程も細々と残していくつもりです。