どうしようもない午後の眠気
以前の記事「朝を清々しく過ごす」でも軽く触れましたが、朝を乗り切った後も、人間は一日中走ることはできませんのでどこかのタイミングで休憩する必要が出てきます。
それが午後2時前後にやってくる眠気です。
昼食をたくさん食べたから眠くなった、と多くの人が誤解されていることですが、実は昼食を少なく食べても、あるいは食べなくてもだいたいこの時間は眠くなって活動性が一時的に低下することが知られています。
これはサーカセミディアン(半概日)リズムと呼ばれるもので、最も眠くなるとされる午前1~2時よりは強くはありませんが、午後一発目の授業・講義であったり、会議や講演会などではいつも以上に眠くなってしまうことが知られています。
したがって、睡眠不足の有無や昼食量の多い少ないにかかわらず、このタイミングで眠気がやってきます。これは、ある意味「仕方のない」眠気といってもいいかもしれません。
パワーナップ(power-nap)の威力
ですが、こうも毎回眠気が襲ってくるとなると、日中に作業をする我々にとっては死活問題になってきますね。
実は、睡眠慣性から脱却する必要のある朝と比べて、昼の眠気はうまく処理することで午後の活動性を上昇させることができます。
私も実践しているパワーナップ(power-nap)という方法があります。 パワーナップはコーネル大学のジェームス・マースによる造語で、パワーアップ+ナップ(昼寝)の合成語です。
お昼に15分程度の仮眠を取ること。
パワーナップは上記の通りシンプルで、眠気が襲ってきたときには抗わずに15分程度仮眠することです。例えば、机に突っ伏して寝ても構いませんし、アイマスクをして、もたれかかって寝るのもよいでしょう。
受験勉強や資格勉強などで一日中勉強する必要がある方も、お昼には参考書を開いたまま15分間のタイマーをセットし、タイマーが鳴ったらそれ以上は抵抗せず再び机に向かいます。そうすることによって、眠気に抗いながら勉強した場合よりもはるかに効率よく勉強が進むことが知られています。
しかし、なかなか仮眠をとることができない方も多いかもしれません。もし休憩時間が多くとられているのであれば、しっかり15分休むことができますが、休みが不定期であったり、呼び出しが多かったりするとなかなかこのリズムを作り出すことができません。
実際、私も職業柄、なかなかそのような時間を取ることができない方ですが、それでも似たような効果を挙げるよう努めています。具体的には、数分でも構わないから座ったまま目を瞑ってみる。衆人環視の中ではばかられるようであればお手洗いに避難してわずかな時間でも視界を遮り情報量を少なくすることが重要です。
コーヒーは覚醒を促す良薬になる
さらに、その作業に入る前に温かいコーヒーを飲むことができればなおのこと良いです。私はブラックコーヒーをゆっくり飲み、そのあとに目を瞑り数分間したあとに仕事に取り掛かります。
こうするだけでも視界がシャットアウトされた数分間で覚醒度は少し落ち、コーヒーに含まれるカフェインの作用で交感神経が再びスイッチされるので、午後もしっかり動くことができます。
もちろん、コーヒーが苦手な方は多少の糖が入っているものでも構いませんし、カフェイン含有飲料でも制限はないと思います。コーヒーはその香りに副交感神経を優位にさせる、いわゆる「リラックス」のアロマが入っているので、毎日の仕事の中でその瞬間だけは喫茶店の中にいるような気持ちになって仕事をすることができます。
カフェインを含有するもの全般に言えることですが、あまり夕方になってから摂取してしまうと、代謝が遅い人であれば夜にかけてカフェインの作用が残ってしまうので、そちらが睡眠を妨害してしまう可能性があります。ですから、理想は午後2時くらい、遅くても午後3~4時くらいまでにはカフェインの摂取を終了しておくことをお勧めします。
夜に心地よく睡眠に入ることのできる方法もご紹介しますが、カフェイン含有飲料を夕方以降に摂らない、というのも一つの方法です。
寝すぎないように注意しましょう
また、お昼寝をしてしまうと夜が寝られなくなる、と考える方も少なくないと思います。
それは昼寝として15分からさらに長く30分も1時間も寝てしまった場合です。
これはどちらかというと朝の睡眠慣性に似た眠気を誘発してしまい、午後の作業効率が低下してしまうばかりか、睡眠のリズムが乱れてしまいよくありません。
逆を返せば短い時間で作業効率が上がり、夜の睡眠に影響を及ぼさないのであればやらない手はありませんね。是非、実践してみてください。