高配当株投資家の悩みは、常に
継続的に増配してくれるのか(業績が安定しているのか)
配当利回りは高いのか(株主に対して還元をしてくれるのか)
分散投資ができているのか(業種・国内外で投資対象があるのか)
こういうところにあるのではないかなと思います。
やはり減配・無配はポートフォリオを大きく傷つけます。
配当利回りが相対的に低くなってしまう状態では買いづらいわけです。
投資対象が限定的で分散ができないと、一部分が大幅下落したときに狼狽してしまう可能性があります。
高配当株投資をするときには、誰もが長期的に配当金を育てていきたい。
そういう風に考えていらっしゃると思います。
高い配当利回りと安定性、分散性を考えたときに良い投資対象はないのか。
今回は、そんな悩みに対してREIT(不動産投資信託)が一つの解になりうるかもしれないということについてご紹介しようと思います。
結論から言ってしまうと、REITの良いところは以下のようになります。
契約期間が長く家賃収入が安定的である
景気が後退したときに下方硬直性を示す(ディフェンシブである)
収益のほとんどを株主に対して還元するため配当利回りが高い
時間的・空間的に分散投資をすることができるため個別株投資のリスクをカバーできる
まずは、REIT(不動産投資信託)とは何なのか、というところを見てみたいと思います。
REITとは
REIT = Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)。
Wikipediaだと「公衆から調達した資金を不動産に投資する金融商品の一種」とざっくり書かれています。
要するに、投資する対象を不動産に絞ったETFみたいなものです。
ETFは複数銘柄に(時価総額でも均等でも)分散投資します。その銘柄は業種・セクタが異なるものも入っています。
REITは不動産に限定して、様々な不動産(投資物件としてはオフィスビルや商業施設、店舗、住宅など様々)に投資をしています。
本来であれば、個人が不動産投資をする場合には、借入するなどして高いレバレッジをかけていかないといけません。失敗するリスクもあります。
ただし、REITの場合はその点で全部を個人でやる必要はなく、比較的安価(数万円~数十万円)で投資することができるので、投資先として個別株とは異なる魅力があります。
では、具体的にREITが投資先として考えられるかどうか、見ていきましょう。
契約期間が長く家賃収入が安定的である
REITの構造は、不動産の家賃(賃料)収入を分配金として投資元へ還元するというものです。
本来であれば自分で不動産を購入してマネジメントして入居者を増やし、そこから家賃収入を得なければなりません。そこには膨大な学習と努力と時間が必要になります(少なくとも私はまだ実践できる気になりません)。
ですが、REITではそれが信託会社が間に入ってくれるので、純粋な賃料収入の一部を貰うことができます。
その一方で、賃料収入が下がれば分配金も下がってしまうことになります。この点が懸念されるところでしょうか。
実際には皆さんもマンションなどに入居されているとわかるとおり、契約期間は年単位であることが多いわけで、滞納などしない限りは時間的に安定性をもって賃料収入が得られることになります。
これは別に景気の良し悪しで決まるわけではありません。景気が良かったからといって翌月の家賃が暴騰するわけでもありませんし、逆もまた然りです(笑)
個人での不動産投資は軒数が限られますが、REITであれば幅広く分散されているので、その点のリスクも解消されるでしょう。住宅だけではなく、すぐに投資できないような不動産物件からも間接的な賃料収入を受け取ることができると考えられます。
高配当株投資家にとって安定性は最も欲しいところです。
そういう意味で、REITは投資対象の一つとして考えられそうです。
収益のほとんどを株主に対して還元するため配当利回りが高い
一般的な株式投資だと、利益は自分の会社の成長や法人税を含めた各種税金でかなり持っていかれ、すべてが株主に還元されるわけではありません。
特に株式会社は法人税を払いますから、そのあとに残ったお金で投資家に対する配当金を支払っていきます。
その一方で、REITは以下の条件さえ守れば法人税がかかりません。
当期利益の90%超を投資家に分配すること
つまり、出た利益をほとんど株主に対して還元すれば税金がかからない。これは会社にとっても投資家にとってもwin-winでしょう。
このように、REITは利益のほとんどが投資元に分配金として返ってくる構造を取っているため、個別株投資に比べると比較的高い配当利回りとなることが多いです。
景気が後退したときに下方硬直性を示す(ディフェンシブである)
景気が後退すると長期金利が低下しますから、REITの分配利回りは上昇する傾向にあります。
景気悪化により株式市場が下落局面を迎えると、こちらのリスクヘッジのためREIT含む不動産市場に資金が流れこむことがあります。
直近で一番凄まじい景気後退を起こしたリーマンショックでさえ賃料の最大下落率は約30%であり、株式市場の暴落率と比べると下落こそしているものの一定の安定性が見られます。
暴落時に下支えが生じる性質が強いことが下方硬直性とざっくり理解すればOKと思いますが、REITはこのような性質を持っているため、ポートフォリオの中に組み入れると個別銘柄分散以外の分散効果を発揮してくれます。
不動産の収益形態が長期的な価格安定性で支えられているので、株式市場と比べると上下に大幅に触れにくいという性質があると考えてもいいでしょう。
時間的・空間的に分散投資をすることができるため個別株投資のリスクをカバーできる
REITは先述の通り様々な不動産形態に対して投資されています(なかには、REITの亜型のようなものとしてインフラ投資法人もあり、こちらはインフラに限った投資信託にするものです)。
また、先述の通り規定の契約期間は賃料が発生しますから、突然収益がガタ落ちすることがなくなるという時間的安定性もある程度存在すると言えそうです。
これが日本の不動産投資信託なら「J-REIT」と呼ばれ、日本国内での不動産に対する分散投資がREIT一本で実現できます。
米国のREITは景気後退期にあってもS&P 500指数をアウトパフォームすることもあり、成長性も十分にある米国REITも投資対象として有望そうです。
J-REITに関しては、日本の人口動態の変化を考えると将来の空室率なども気になりますので、米国REITへの投資もさらなる分散となって良いかもしれません。
私はこの点も含め、高配当ETFであるSPYDに投資をしています。
SPYDはセクタの偏り(不動産・公共事業など)や構成ルール(完全均等分散)が面白く、リスクと捉えられることもありますが、以下の記事のように少しずつ買い増していこうと考えています。
【分散投資と高配当】SPYDを保有する理由
私はどちらかというと石橋を叩いて渡る性格の人間で、ディフェンシブ銘柄の方が性に合っているような気がします(対義語は景気敏感株=シクリカル株)。
逆に、景気敏感株で構成されるポートフォリオであれば、ディフェンシブ銘柄を組み入れて変動幅を下げるというのも一案ですね。
高配当株投資家としては、
継続的に増配してくれるのか(業績が安定しているのか)
配当利回りは高いのか(株主に対して還元をしてくれるのか)
分散投資ができているのか(業種・国内外で投資対象があるのか)
ここを常に意識していきたいところです。
REITも今後一定割合ポートフォリオに組み入れていきたいと思います。
これからも配当・分配金を吐き出す個別株やETF、REITなどの銘柄に幅広く投資していきたいところです。
ご参考になりましたら幸いです。