資産というと、目に見えるもので考えることが多いかと思います。
車や家、あるいは現金もそうですが、「もの」として数えられるものが中心です。
そういう「もの」を多く持っている人は、たくさん資産を持っているという風に考えられてきました。
一昔前は、そういうものを持っていることでそれが財産として受け継がれるようになっていました。
現代の資産は何を表しているのか
では、現代の資産は何なのでしょうか。
一昔前からの世代から生きてきた私にとってみると、最近は「もの」に対する興味というのが以前ほどではなくなってきたなというのを感じます。
その要因に、計算機器の小型化と高速化があります。
スマホは昔の携帯電話の延長として存在していますが、端末としての利便性は桁違いになりました。パソコンも、ノートパソコン一台あればもはやどこでも仕事ができるようになりました。
本来であれば高級な「もの」に接近するためには様々な形で努力してこなければならなかったことが、現代ではスマホを含めて計算機器上のやり取りが効率よくなってきているのです。
株式投資も、昔は証券会社に出向いたり電話での取引などがメインであったようですが、今では画面をタッチするだけで巨額の取引も可能となりました。
そういう例に代表されるように、実際に動いているものと我々が指先でやっていることのスケールが大きく離れ始めているんですね。
有名人になるためにはテレビは必要ないし、ニュースは新聞を買わなくてもあっという間に手に入るようになった。
「もの」そのものが徐々に計算機器のなかに取り込まれるようになってきたので、「もの」を持つことが差別化に繋がらなくなってきたのでしょう。
一方で、そういう状態になった現在は徐々に「こと」つまり体験や思考の方向へ舵を切るようになってきています。
このことは、国家とかそういう大きなレベルだけでなく、個人のレベルでも同じように思います。
「もの」が満たされると、今度は「こと」にシフトしていくのです。
ノマドワーカーやミニマリストといった言葉が流行するようになったのも、そういうことが影響しているのかもしれません。
時代は着実に変化している
現代では「もの」がある程度一様に手に入るものになりましたから、これからは個人でも社会でも「体験したこと」や「考えたこと」に個性が生じるようになってくるでしょう。
高速化した「情報」はどちらかというと「もの」になりますから、情報を正しく発信するだけでは時代遅れになってしまう可能性もあります。
個人個人の考えは今も昔も変わらず、常に新しいものが生み出されているのですから、これからの時代はそういうものが大事になってくるでしょう。
そう考えると、日々をどういう風に過ごすかということを考えることが今まで以上に重要になってくるはずです。
私も、経済基盤という「もの」を盤石にしたうえで、趣味という「こと」をどんどん伸ばしていきたいと考えています。
これから皆さんの持つべき資産も、少しずつ「こと」に置き換わっていくはずです。今から準備し始めるのでも遅くはありません。
ものばかりにこだわらない考え方を持ちたいものです。