資産形成においてリスクをどう考えるか。
自由を獲得するための手段として、投資があるということを以前の記事でお伝えしたことがあります。
資産を築き上げていくことは、上の記事にある方程式の通り、いくつかのパラメータを重視して動かしていく必要があります。
では、資産を作るための心構えはどのように持ったら良いのでしょうか。
私が考える資産形成の考え方は「減らさない」「損をしない」「負けない」。
実は、これは人生全体においても言うことができますが、まずは資産形成の過程における考え方を例にとってみてみましょう。
まず、金融資産は「無リスク」で成長することはありません。
どこかで皆さんはリスクを背負うことになります。
ですがこの「リスク」という言葉は、「危険」という意味で誤解を生んでいることが多いです。
リスクを伴うということは危険を伴うという意味と決して同値ではなく、
上下の変動の振れ幅をどこまで許容できるか
ということが本質的な意味合いです。
つまり、リスクが小さいということは得るものも少ないし、失うものも小さい。
反対に、リスクが大きいということは得るものも大きいが、失ったときの被害も大きくなる。
定期預金などは、リスクが小さい(つまり、振れ幅が小さい)投資対象ですね。
元本がまったく動きません。
一方で、株式投資は場合によっては元本が倍にも3倍にもなる反面、「ただの紙切れ」になる可能性も十分ある。
そういった意味で、株式投資は「リスク」が大きいと考える。
決して、株式投資そのものが「危険」というわけではありません。
資産形成を加速させるためには、そういうリスク資産を増やしていくことも重要な点となります。
実際に株式投資を始めてから一年以上が経過し、一時期は暴落も経験しましたが、やはり「リスクを取って増やす」ことが大事だなと感じます。
さて、そのことを理解したうえで、 「減らさない」「損をしない」「負けない」 という考え方を資産形成に対して実践していくにはどうしたらよいのでしょうか。
シンプルに3ステップに分けて考えましょう。
勉強すること
実際に少額からはじめて経験を積むこと
許容できる資産で運用すること
一つずつ見ていきましょう。
勝つためのステップ1 勉強すること
当たり前の話ですが、なにかを学び始めるときは入門書から専門書まで、自分が知らないことはほとんどないといえるくらいまでに勉強するのが最もシンプルな近道です。
株式投資をやろうと思っていきなり証券口座を開いて取引する人はいませんね。
まずは株式投資の仕組みを学ぶことが重要です。
新書でも構いませんから、作者の言葉で分かりやすく解説している書籍を選ぶようにしましょう。
私が参考にした書籍の一つに橘玲さんの『臆病者のための億万長者入門』があります。
作家が書く堅苦しくない資産形成への考え方が記されており、こういうところからエッセンスを1つ2つ見つけていくことから始めてはいかがでしょうか。
株式投資を始め、資本主義の本質を勉強する姿勢は、決して危険なことではありません。
むしろこれからの時代を生きていく中では、投資は「教養」といえる立場を獲得していくことになると思います。
勝つためのステップ2 実際に少額からはじめて経験を積むこと
資産形成は机上の空論だけでは決してできません。
そこに真剣さが伴ってこないからですね。
自分の持っている資産の中で、余裕のある分だけをまずは運用してみる。
初めから慌てて大掛かりな作戦を立てず、運用した資産が減ったり増えたりする「リスク」の本質を体感しながら、まずは自分の「リスク許容度」を探るところから始めましょう。
時計や車、服飾品などには意外とポンポンお金を使ってしまうけれども、株式投資をはじめ投資での「マイナス」には敏感になる方も多いのではないでしょうか。
それに気づけただけでも 「減らさない」「損をしない」「負けない」 という理念を実践することができます。
減らさない、損をしないためにはどういうポートフォリオを組めばよいのか。
汗水たらして働いて得た給与が増減することは、その分だけのストレスがかかりますが、苦心のうちに仕上げていったポートフォリオはいつしか大きな財産となります。
千里の道も一歩から。まずは少額から初めて経験を積んでいきましょう。
勝つためのステップ3 許容できる資産で運用すること
運用をし始めると、人間は必ず欲望が出てきます。
「あのときに買っておけば」とか「もうちょっと持っておけばよかった」など。
この感情は道を踏み外す大きな要因になります。
まずは余力のある範囲で「失っても大丈夫」な資産を使って運用しましょう。
そのうえで、できるだけ失わないような運用で着実に増やしていく作戦を立てる。
この二段構えの姿勢で、少しずつ大きくしていきましょう。
時間を味方につけることにより、直線的な増加ではなく指数関数的な増加が見込めます。継続的に資産を増やしていけるような方法を探っていきましょう。
私が実践しているのは、継続的に配当を出す企業に対する投資です。
改めて投資方針を明確にしておきます。
ルールを作れば、あとはそれに乗るだけです。指針を作れば、そこから大きくずれたら修正することができます。
ゆっくりやっていても、1年あれば配当金を積み上げていくことが可能です。
焦らず、ゆっくり、着実に
重要なことは、ゆっくりでもいいから着実に大きくしていくことです。
それを言い換えると 「減らさない」「損をしない」「負けない」 ということになるわけです。
マイナスにならないようにすると、結局はプラスに向かっていくことと同じなのです。
マイナスにしないこと。これがとても重要で、毎月の給料を使い切ってしまってはいつまで経っても資産形成はできません。
簡単に言えば、収入ー支出の結果(差)を大きくすることができれば資産は増えていきます。
ですから、運用効率を上げる前に徹底した収入力の向上と支出の最適化が求められます。
毎月毎月、収支がプラスになること。シンプルなようですが、これを1年12回繰り返していくことです。
雪だるまは、転がしていくうちに必ず大きくなります。
運用は、その芯をさらに大きくするためのブースターのようなものです。
ですがそれが主人公ではありません。運用は「プラスにしよう」とする目的があるからです。
プラスにしようとすると人間は欲望が必ず出てきます。
欲望は青天井であり、かつ変動が伴います。誰にでも再現性があってできるわけではありません。
その点、減らさないことは誰にでもできます。再現性が高いです。
私も実際に減らさないようにしてみて資産が増えることを確認できました。
マイナスにならないようにすることは誰でもできるシンプルで確実な方法ですから、投資を始めるときにはマイナスを避ける考え方を念頭に置いて、じっくりと準備を進めていきましょう。
ご参考になりましたら幸いです。